公益財団法人日本バドミントン協会

観戦記

平成30年度 第72回 全日本総合選手権大会

11月28日(水)1回戦

男子シングルス1回戦

情熱のハードヒッター内藤が大きな壁に、意地の強打でジュニアのホープ奈良岡を退ける。

  • 内藤 浩司 (日立情報通信エンジニアリング)
2
  • 21-17
  • 21-9
0

ユースオリンピック3位と、日本の次期エースを期待される奈良岡功大(浪岡高校)が、日本きってのハードヒッターである内藤浩司(日立情報通信エンジニアリング)と対峙した。

第1ゲーム、互いに点を取り合いながらのゲーム展開の中で、奈良岡は巧みなラケットワークとタイミングの変化で相手を揺さぶり、誘い出したミドルコートからスマッシュを沈めて11-10とする。しかし対する内藤が中間インターバル明けからスピードに乗り、上がってきた球を強力なスマッシュで次々にねじ込み、5連続得点と逆転する。激しい動きの中でネットショットの精彩を欠いた奈良岡は立て直しのきっかけを掴めず、最後はスマッシュをネットにかけ、内藤が21-17と先取する。
第2ゲームに入ると、内藤の剛腕はさらにうなりをあげる。ネット前への早い入りからディセプション(騙しのショット)でリアコートにシャトルを送り、相手のクリアを次々にクロススマッシュで沈めていく。前半は必死に拾って粘った奈良岡であったが、中盤以降は我慢しきれない。勢いを増した内藤は10-9の場面から徹底したスマッシュ攻めで怒涛の11連続得点を奪い、21-9として奈良岡を撃破。大きなガッツポーズで試合を締めくくった。

悔しい敗戦となった奈良岡は「ミスが多く、前半から自分のプレーが出せなかった。来年は海外で勝てるように相手に向かう気持ちをもって戦いたい。」と、早くも次の目標に切り替えた。

2
  • 21-18
  • 21-7
0
  • 山口 容正 (Shuttle&Sons)
桃田 賢斗コメント
「昨年の1回戦は、ほとんど負け試合だったので、今年はいい試合をしようと思ったが、相手に追い込まれてしまった。相手が自分より高いところで球をとらえていたので、自分もより高いところでとらえようとして、それが上手くいった。この大会では世界ランキング1位らしい試合をしたい。」
2
  • 21-16
  • 22-20
0
  • 小本 翔太 (日本体育大学)
西本 拳太コメント
「今日の相手は大学の頃から何度か対戦した粘りのプレーヤーだったので侮れないと思っていた。あまり点数で評価はできないが勝てて良かった。この大会は観客も多く、期待通りのプレーをしたい。最終日センターコートで試合ができるよう頑張りたい。」
女子シングルス1回戦

4度目の正直、仲井が全日本総合本選で嬉しい初勝利をあげる。

  • 仲井 由希乃 (再春館製薬所)
2
  • 21-14
  • 21-8
0
  • 下田 菜都美 (広島ガス)

今年の全日本社会人での準優勝や、先々週行われたS/JリーグⅡで最高殊勲選手賞を獲得するなど、広島ガスのチームの顔として活躍する下田菜都美が、最高峰S/Jリーグの強豪・再春館製薬所の仲井由希乃と対戦した。

第1ゲーム、競った序盤から抜け出したのは仲井。積極的に攻撃ラリーに持ち込んで主導権を奪い11-7とする。下田は安定したフォームからコーナーを狙ってラリーを組み立てようとするも、シャトルコントロールに苦しみ要所でポイントを奪えない。攻め切った仲井が21-14と幸先よくゲームを先取した。

第2ゲームに入っても仲井の攻撃は凄みを増していく。鋭いドリブンクリアとスライスショットの打ち分けが冴え、14-4とするなど大量リードを奪う。フロントコートでのネットショット、ロブショットに精彩を欠いた下田は立て直すことができず、後半は仲井のクロススマッシュが次々に決まっていく。結局、仲井が21-8と快勝、4度目の全日本総合で自身初の本選1回戦突破を果たした。

前年3位の実力、峰が圧倒的なプレーで一線級の戦い方を示す

2
  • 21-13
  • 21-10
0
  • 郡司 莉子 (八代白百合学園高校)

神奈川県から熊本県の八代白百合学園高校に越境進学し、高校1年生にして高校総体3位、全日本ジュニア優勝と躍進の年となった郡司莉子が、同じ熊本県に拠点を置く再春館製薬所の峰歩美との初戦に臨んだ。峰は昨年の総合で3位、今年はさらなる飛躍を狙っての大会となる。

試合序盤から持ち味を発揮したのは峰。軽快な脚運びと早いタッチでテンポよくラリーを展開し、第1ゲーム前半で2度の5連続得点をあげるなど11-3と大量リードを奪う。後半は郡司も相手のフォア側リアコートを有効的に突き、チャンス球を作って沈めるなど見せ場を作るが、経験に勝る峰が要所で得点を許さなかった。大事な終盤では郡司のミスを誘う配球を見せ、峰が21-13とした。

第2ゲーム、郡司は開始早々攻撃的にシャトルを打ち込み、3連続得点を奪う。しかしある意味リスクを負った戦い方でもあるためか、バラエティに富んだ峰のリターンに逆に追い込まれる場面も多くなり、またしても主導権は峰が掴む。大量リードを奪っては益々スピードを上げていく峰が攻守に圧倒し。21-10として若き挑戦者を退けた。

男子ダブルス1回戦

鉄壁のシード選手、保木/小林が強さを見せつけて快勝。

2
  • 21-16
  • 21-12
0
  • 星野 翔平 (NTT東日本)
  • 西川 裕次郎 (NTT東日本)

日本代表A代表として、着実に持ち味を伸ばしている保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)は、1回戦で今年のランキングサーキット準優勝の星野翔平/西川裕次郎(NTT東日本)と対戦した。

第1ゲーム、一手目からスピードを上げ、低いショットを押し込んで点を取りに行く星野/西川が8-6とリードを奪う場面が見られたが、肝心のフロントコートで星野が我慢しきれず、流れは徐々に保木/小林へ。前衛での球際の強さに定評のある保木が着実にシャトルを抑え込んで星野/西川のディフェンスを揺さぶり、小林が強打を沈めて得点を重ね、21-16で保木/小林が先取した。

第2ゲームは前ゲームにも増して保木/小林が前へ前へとプレスをかけ、次々にシャトルを沈めていく。何とかして西川の強打につなげて盛り返したい星野/西川であるが、思うようにラリーをさせてもらえず、防戦一方となってしまう。結局、技術・スピード・パワーのすべてにおいて上回った保木/小林が自在にショットを決め、21-12と危なげなく1回戦を突破した。

男子ダブルスは8シードのペアが全てストレート勝ちを収めており、その強さを見せつけた結果となった。

2
  • 21-11
  • 21-10
0
  • 三好 耕二 (大同特殊鋼)
  • 本田 尚人 (大同特殊鋼)
園田 啓悟コメント
「自分達らしいプレーができた。 昨年は悔しい思いをしたので、このタイトルをしっかり取ってから次の海外の試合に臨みたい。明日も自分達らしい試合をしたい。」
嘉村 健士コメント
「初戦にしては良いプレーができた。日本のトップになってから海外の試合に臨みたい。優勝が目標だが、目の前の試合を一つずつ勝ちたい。」
2
  • 21-12
  • 21-12
0
  • 河村 翼 (埼玉栄高校)
  • 川本 拓真 (埼玉栄高校)
遠藤 大由コメント
「すごく大事な大会なので緊張したが勝ち切れてよかった。明日は勢いのある学生なので、飲まれないようにしたい。」
渡辺 勇大コメント
「やはり緊張したが勝ってよかった。遠藤さんと同じく、受け身にならないよう意識して戦いたい。」
2
  • 21-18
  • 21-13
0
  • 小倉 由嵩 (日本大学)
  • 三橋 健也 (日本大学)
井上 拓斗コメント
「しっかりストレートで勝てて良かった。この大会でいつも通りのプレーをしたい。」
金子 祐樹コメント
「1回戦から強い相手だったが、しっかり準備をしていた。第2ゲームは自分たちの良いところを出せた。オリンピックまでにこの大会で優勝したいと思って臨んでいる。」
女子ダブルス1回戦

納得の滑り出し、名コンビの藤井/垣岩ペアが笑顔の勝利で1回戦突破

  • 藤井 瑞希(再春館製薬所)
  • 垣岩 令佳(再春館製薬所)
2
  • 21-15
  • 21-12
0
  • 綿矢 汐里 (福井県立奥越特別支援学校職員)
  • 山口 茜 (再春館製薬所)

個人戦のラストトーナメントとしてこの全日本総合に臨んでいるロンドンオリンピック銀メダリストのフジカキペアこと藤井 瑞希/垣岩 令佳(再春館製薬所)は、予選からの勝ち上がりながら、抽選で16番シードを掴むなど運にも恵まれている。その本選1回戦では、今年の福井国体において福井県の成年女子準優勝の原動力となった綿矢汐里/山口茜と対戦した。

第1ゲーム序盤、抜群のプレーを見せたのは山口、柔らかいタッチと緩急自在のショット、余りある機動力で相手を翻弄する。そんな山口のプレーに、藤井/垣岩はロブショットをことごとくアウトにしてしまうなど立ち上がりに苦しんだものの、徐々に立て直し11-8とリードを奪って後半に突入する。長年のコンビ歴がある藤井/垣岩は、綿矢/山口のアタック時の一瞬の連携のズレを見逃さず、リターン時にそのズレをうまく突いてチャンスを作っては得点につなげ、21-15としてこのゲームを奪った。

第2ゲームに入っても球回しのうまさを見せた藤井/垣岩が優位な立ち上がりを見せ、8-4とリードを奪う。ここから綿矢/山口も綿矢を前衛、山口を後衛で固めての怒涛の攻撃を見せ、11-12と1点差まで迫る。それでも、より上手く配球したのは藤井/垣岩だった。低いラリーやつなぎ球にクロスショットを効果的に交えて相手のミスを誘い、強打で押し込んでいく。終わってみれば21-12、充実の内容で藤井/垣岩が一回戦突破を決めた。

2
  • 21-11
  • 21-10
0
  • 種岡 遥 (龍谷大学)
  • 米山 麻美 (龍谷大学)
髙橋 礼華コメント
「この会場はやりづらいこともあり、ミスがないように心がけた。」
松友 美佐紀コメント
「(髙橋)先輩同様の心がけで慎重にプレーした。」
2
  • 21-4
  • 21-5
0
  • 藤井 珠生 (岡崎城西高等学校教職員)
  • 樋口 亜依美 (春日井市教育委員会)
永原 和可那コメント
「二人の形をうまく作れたと思う。昨年は3位で悔しかったので今年は優勝したい。」
松本 麻佑コメント
「明日以降の戦いを見据え、体育館に慣れようという意識でプレーした。」
2
  • 21-6
  • 21-6
0
  • 中村 恭子 (丸杉)
  • 諸田 彩 (丸杉)
福島 由紀コメント
「初戦と言う事を気にせずゲームに入ることが出来た。この大会は日本人同士の戦いで厳しい戦いが続くと思う。自分達も向かっていく気持ちで戦いたい。」
廣田 彩花コメント
「チームも変わってフレッシュな気持ちで初戦を終えることが出来た。日本人同士、厳しいトップ争いのトーナメントをしっかりと戦っていきたい。」
混合ダブルス1回戦

若き才能が強みを発揮、ファイナルゲームを制して次のラウンドへ

2
  • 21-15
  • 17-21
  • 21-10
1
  • 竹内 義憲 (日立情報通信エンジニアリング)
  • 加藤 美幸 (ACT SAIKYO)

それぞれ本職の男女ダブルスで世界ジュニア優勝経験者である高卒1年目と3年目のペア・久保田 友之祐(トナミ運輸)/松山 奈未(再春館製薬所)が竹内 義憲(日立情報通信エンジニアリング)/加藤 美幸(ACT SAIKYO)の実力派大卒ペアと対戦した。

第1ゲーム、前半は点の取り合いで進むも先行したのは久保田/松山。松山がネット前で好反応を見せてシャトルを捌くことで、竹内/加藤は後手に回ってしまう。チャンス球をサウスポーの久保田が確実に決め、10-10から連続得点で抜け出した久保田/松山が快調に得点を重ね、21-15で先取した。

第2ゲームも久保田/松山は攻めの形で得点をあげる。対する竹内/加藤も加藤が我慢のリターンでつなげると、竹内が運動量を上げ、徹底して強いドライブ、スマッシュを松山に集めて応戦する。15-14から4連続ポイントで抜け出した竹内/加藤が、最後は加藤のサービスエースで決め、21-17でゲームを奪い返した。

ファイナルゲーム、大事な滑り出しでここ一番の集中力を発揮したのは松山。前衛だけでなく後衛でも的確なコース選択で有効打を繰り出し相手を崩す。これに応えて久保田も早いタッチで強打を押し込み、7-6から4連続得点でリードを奪う。このリードによってより大胆な攻勢に出た久保田/松山がその後も押し続け、竹内/加藤はリターンしきれない。後半は危なげないゲーム運びを見せた久保田/松山が21-10で勝利を収め、2回戦進出を決めた。

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