公益財団法人日本バドミントン協会

観戦記 12月29日

令和3年度 第75回 全日本総合バドミントン選手権大会

12月29日(水)

男子シングルス
2
  • 21-15
  • 21-16
0

昨日の準々決勝で第1シードの古賀穂(NTT東日本)を倒した田中湧士と、同じB代表の小野寺裕介(日本ユニシス)を2-0で倒し「自信を持てた。」と話した下農走の準決勝。どちらが勝っても初の決勝進出となるため、両者とも気合を入れて臨んだ一戦となった。

第1ゲーム、風で押し戻されたのか、田中が見送ったロブがライン上に落ちて始まった。序盤は田中がライン際にスマッシュを沈める一方、下農がネット前でチャンスを作り得点につなげて両者譲らない展開になる。その後、8-8から田中が3連続ポイントで一歩リードするが、下農も連続ポイントで追い上げる。試合が動いたのは田中リードの14-13の場面、下農が少し焦ったのかミスが続き田中に連続ポイントを許してしまう。そのまま田中がスマッシュを打って前に詰めるなどで得点を重ね、21-15でこのゲームを先取した。

続く第2ゲーム、序盤から両者とも積極的な姿勢を見せた。下農が鋭いスマッシュをライン際に集めて攻め込めば、一方の田中はダイビングレシーブでつなぎ、上がってきた球をすかさずスマッシュして反撃する。一進一退の展開で迎えた6-6の場面、先に抜け出したのは田中。パワフルなスマッシュを沈めたり、ネット前でつくったチャンスを決め切るなどして4連続ポイントを奪う。その後13-10の場面から、下農のミスを誘うなどしてさらに連続ポイントを積み重ねる。巻き返しを図りたい下農だったが、決め球のスマッシュがサイドラインを割るなど、要所で精彩を欠き、流れを引き寄せられなかった。最後は田中が放ったロブが、一度はアウト判定されるも、「風で押し戻されたのがわかったからチャレンジした」という田中の判断が見事に当たりコレクションイン。これが決勝点となり、21-16とした田中が見事決勝進出を決めた。

試合後のインタビューで田中は、「明日の試合までロブの修正をしたい。優勝を意識してしまうと緊張してしまうので、明日の試合では1点1点に集中したい」と明日への意気込みを語った。


2
  • 21-10
  • 21-11
0
  • 高橋 洸士(トナミ運輸)

トマス杯に出場するなど世界を相手に奮闘している奈良岡功大と、ここまで武井凛生(ふたば未来学園高校3年)、小本翔太(日立情報通信エンジニアリング)をファイナルゲームの接戦で下してきて勢いのある高橋洸士が顔を合わせた。20歳の同級生のこの2人、過去の対戦では、JOC、高校選抜、団体戦とすべてストレートで奈良岡が勝利している。一歩先を行く奈良岡に対して、髙橋の粘りがどこまで通じるのか楽しみな一戦となった。

第1ゲーム、「1回戦から準々決勝までと違って、最初からフルスピード、早いタッチを意識して自分から攻めの形にした」という高橋がコートを動き回る。一方の「上からの強いショットがない分、余裕があった」と話す奈良岡は、大きな球回しでゆったりとラリーをして、甘くなったところで鋭いスマッシュを沈めていく。高橋は、「これまでの相手と違ってスピードを上げても付き合ってくれない、うまくかわされてしまった」と自分のプレーをさせてもらえず、スマッシュがサイドアウトするなどミスが目立つ。持ち味のスピーディなラリーのできない高橋に対して、冷静な試合運びで連続ポイントを奪った奈良岡が21-10とする。

第2ゲームに入っても、奈良岡のクレバーなゲームメイクが冴えわたる。高橋はなんとか打開策を見つけようとスピードを上げるも、奈良岡はクリアやドロップを多用して付き合わない。終わって見れば、21-11と奈良岡が強さを見せつける結果となった。

試合後、自分のプレーができなかったことに悔しさを滲ませた高橋は「レベルの差。一つ一つのショットのクオリティーが足りていないことを思い知らされた。この負けをこのままにしないで次に活かしたい。もっと練習してランキングサーキット、総合にしろ、来年こそは1つでもタイトルを取りたい」と内に秘めた強い思いを口にした。初の決勝進出を果たした奈良岡は、「優勝したい。パリオリンピック出場には世界ランキングを上げる必要がある。そのためには、A代表にならないといけない。」と、今大会の優勝を誰よりも切望している理由を明かした。


女子シングルス
2
  • 21-19
  • 21-12
0
  • 佐藤 冴香(ヨネックス)

昨年の準決勝、奥原希望、佐藤冴香の両者は「もう最後の対戦でもおかしくない」と互いに感じて、特別な思いを胸に激戦を繰り広げ、試合後には涙を見せた。あれから1年、何というめぐりあわせか、今年の全日本総合でも同じく準決勝で2人の対戦が実現した。

第1ゲーム、お互いにコートを広く使った厳しいショットの応酬で、白熱したラリーが展開される。パワーで勝る佐藤が強力なドリブンクリアのほか、サイドライン際へ強力なスマッシュを打ち込んで8-4とリードする。対する奥原は、厳しい球にもしっかりと身体を寄せて粘り強くリターンし続けると、徐々にペースをつかんで10-10で追いつく。その後、ラリーの勝負所で鋭いスライスショットを駆使して得点をあげた奥原がややリードしながらも、佐藤も攻撃の手数を増やし、互いに点を取り合う緊迫した接戦でゲームが進んでいく。最後は佐藤のリターンがわずかにネットを越えず、21-19とした奥原がかみしめるようなガッツポーズを見せた。

第2ゲームに入っても、佐藤は攻撃的なラリーで勝機をつかみに行くが、奥原もうまく対応し引き離せない。奥原はラウンドからのストレートスマッシュでエースをあげて5-6としたときに、この試合で初めて力強い声をあげると、それをきっかけにギアチェンジに成功する。スピードが上がった状態での正確な打ち分けで相手を苦しめ、14-8と主導権を引き寄せる。佐藤もライン際へのショットで応戦するが、厳しい狙いだけにミスと隣り合わせのプレーとなり、点差を詰めることが出来ない。最後は奥原が6連続得点を奪って21-12、今年も絶対的な強さを誇示した。

試合終了後、コート上で抱擁する2人。この大会をもって個人戦の引退を表明していた佐藤だけに、プロ選手として個人ベースで活動している奥原とは、本当に最後の対戦となったのだろう。勝利した奥原は、平成20~22年の廣瀬栄理子以来となる女子シングルス3連覇に王手をかけた。


2
  • 23-25
  • 21-17
  • 21-14
1

今後が期待される若手選手であり、同じ高校出身で1学年違いの髙橋明日香と水井ひらりが、お互い初の決勝進出をかけて70分にも及ぶ死闘を繰り広げた。

第1ゲーム、髙橋が正確なショットで水井を四隅に追い込んでいき、序盤7-3と一気に引き離す。緊張がほぐれてきた水井は髙橋のショットに食らいついてプレッシャーを与えると、逆に髙橋にミスが見え始め、徐々に水井が差を詰めて流れを引き寄せていく。髙橋の強打を奥に返し、髙橋の持ち味を封じていくと、形勢逆転して19-14で水井が大きくリードを奪う。しかし、今大会強い思いで挑んでいる髙橋が一段とギアを上げる。水井にゲームポイントを握られながらも、20-20と延長ゲームも持ち込んだ髙橋は強気なプレーで押し切り、このゲームを25-23で奪取した。Z

第2ゲームに入ると、第1ゲームの疲労からか水井がそれまで返せていたレシーブがワンテンポ遅れてしまい、髙橋は角度あるスマッシュやクロスカットをしっかりとコートに沈めてくる。調子上げてきた髙橋がそのまま逃げ切るように見えたが、そこから水井が脅威の追い上げを見せる。「2ゲーム目後半に思い切って大きくあげたことが次のショットに繋がって、それまで甘かった球が奥まで飛ぶようになったことで流れが変わった」と水井が振り返るように、ここから試合の流れに変化が出てきた。そんな手応えもあってか、水井は軽快な動きを取り戻し、髙橋のショットに対して粘りを見せる。最後、粘りを見せた水井に対して、焦りからか髙橋にミスが増え、水井が5連続得点を取って21-17でこのゲームを取り返した。

ファイナルゲーム、第2ゲーム終盤から息を吹き返した水井のプレーは自信に溢れている。序盤から自らのショットでポイントを取り、4連続得点で流れをさらに引き寄せる。引き離されまいとそこに食らいついていく髙橋は、作り出したチャンス球には強打で確実に決めてくる。しかし、尻上がりに調子を上げてくる水井はレシーブにも余裕が出始め、攻めに繋がるリターンで更にチャンスを手繰り寄せる。更にはこのファイナルゲーム、水井のラウンドショットが光る。リアコートバック側に押し込まれたシャトルに対しても身体を柔らかく使い、放たれるまでショットやコースがわからない打ち分けを見せて髙橋を翻弄した。髙橋も決定力あるショットを武器に水井の連続得点を封じにかかるが、最後まで果敢にシャトルを追い、苦しい時もコート内にシャトルを収めて、勝利を手繰り寄せるプレーを継続できたのは水井だった。最後は髙橋のクロスカットがサイドラインを外し、水井が決勝への切符を勝ち取った。

試合後、悔しい結果に終わった髙橋は「自分ではしっかりと準備してきたと思っていたが、どこかで甘さがあったのかもしれない。また一から頑張っていきたい。」と振り返った。この敗戦を糧に今後更なる飛躍を目指す。Z

一方、格上選手との苦しい戦いを制し、また一つ大きくなったであろう水井は明日、女王奥原に立ち向かう。「明日は全力で勝ちにいきます!」と意気込んだ水井はどのような戦いを見せてくれるか楽しみである。


男子ダブルス
2
  • 21-15
  • 22-20
0
  • 武井 優太(明治大学)
  • 遠藤 彩斗(明治大学)

ともにランキングサーキット3位入賞の高野将斗/玉手勝輝と武井優太/遠藤彩斗が対戦した。低空戦を得意する勢いのある大学生ペアの武井/遠藤に対して、準々決勝で緑川大輝/町田脩太(早稲田大学)を攻守ともに上回った高野/玉手がどう対応するかに注目が集まった。

第1ゲーム、武井/遠藤が素早いローテーションと、思いっきりのよいジャンピングスマッシュで猛攻を仕掛ける。対する高野/玉手はこれを凌いで連続ポイントをあげ、じわりじわりとリードを奪っていく。相手がドライブから切り込んでトップ&バックになった瞬間に、ミドルコートのスペースへカウンターショットを沈めるなどして、高野/玉手が16-10とする。追いかける武井/遠藤は自分たちのノーロブのアタックを貫き、反撃を試みる。お互いに点数を取り合うものの、結局は前半のリードを守った高野/玉手が21-15でこのゲームを奪う。

第2ゲーム序盤、「硬くなってしまった」という高野に対して、「昨日までは勝たないといけなかった、今日はぶつかっていくだけ。」という武井/遠藤は躍動し、高野/玉手は1-8、7-15と大きく離されてしまう。しかし、「今大会の目標は優勝」と強い気持ちで臨む高野/玉手は、気持ちを切らすことなく我慢のプレーを続ける。武井/遠藤の得意とするドライブ展開に臆することなく、玉手が前に入って高野が後衛からの強打を沈めるパターンに持ち込み、11-15、15-17、19-18と逆転に成功する。このあと遠藤に2本連続でプッシュを決められゲームポイントとされるが、強い気持ちと集中力を切らさなかった高野/玉手は、相手ロブのバックアウト、高野のクロスドライブエースで逆にマッチポイントを握る。最後は遠藤のプッシュが外れ、22-20とした高野/玉手が接戦を制した。

試合後、目標の優勝に王手をかけた玉手は「泣いても笑ってもこれで最後。集大成として頑張りたい」と話し、高野は「作戦を立てて臨みたい」と決勝戦に向けて頭を切り替えた。惜しくも決勝進出を逃した武井/遠藤は、ランキングサーキット3位入賞、全日本学生優勝、本大会3位入賞というこの1年の戦いについて、「今年は充実していた。でも来年はこれを超える成績を残したい(遠藤)」「いい結果に満足せず頑張りたい(武井)」と語り、さらなる飛躍を誓った。


2
  • 21-18
  • 14-21
  • 21-18
1
  • 緒方 友哉(NTT東日本)
  • 柴田 一樹(NTT東日本)

世界選手権組がいない今大会、上位に食い込み存在感をアピールしたい井上/三橋が迎え撃つのは、ランキングサーキット敗北のリベンジに燃える緒方/柴田。7か月ぶりの再戦がこの全日本総合準決勝で行われた。

第1ゲーム、大きな展開のラリーから、互いに切り込んでは押し返すような攻防戦が繰り広げられた。緒方/柴田は、緒方が前に素早く入り、柴田が後衛からスマッシュを打つ得意の形で攻める。一方、井上/三橋はディフェンスで相手の隙を伺い、空いたスペースにシャトルを沈めていく。5-5の場面から、井上/三橋がテンポよく畳みかけて連続ポイントを奪い先行する。その後も、両ペア共に持ち味を発揮し、激しいラリーでの点の取り合いが続いたが、リードを保った井上/三橋が21-18としてこのゲームを奪取する。

続く第2ゲーム、立ち上がりは井上/三橋が攻める形が目立った展開になる。パワーヒッターの三橋が後衛からスマッシュを打ち、井上が前で仕留める得意の形がハマる。対する緒方/柴田も持ち前の粘り強さで攻撃を凌ぎ得点を重ねる。試合が動いたのは7-7の場面、三橋のミスが重なり、7-11と緒方/柴田にリードされる。そこで流れに乗った緒方/柴田の勢いに飲まれる形で後半を押し切られ、第3ゲームにもつれ込む。

勝負の第3ゲーム、レシーブの切り返しを緒方に読まれるなど、思うように流れを作れない井上/三橋は、6-10と相手にリードを許す。しかし、「吹っ切れられたのは良かった(三橋)」と試合後に振り返った通り、気持ちを切り替えた井上/三橋は、今一度脚を動かして勝負所で精度高いリターンを繰り出し、緒方/柴田の流れを食い止め4連続得点をあげて追いつく。その後、井上が前衛でネットインを連発するほか、確実に相手に上げさせる配球をし、三橋が「沢山球が上がってきたので、何が何でもという思いで、何回でも打ち込んだ」と言うとおり、徹底したスマッシュ攻勢を仕掛る。そうした積極性が功を奏し、最終盤に5連続ポイントで勝利を掴んだ。74分に及んだ死闘が決着した瞬間、両ペアはコートに倒れ込み、井上/三橋は勝利の雄叫びを上げた。

井上は、試合後に明日の決勝戦について聞かれると「A代表が出ていない中でも、観客に良い試合だったと思ってもらえるような試合がしたい。」と答えた。一方、大健闘ゆえ、あと一歩の敗戦が悔しい緒方/柴田は、「向かっていく気持ちでプレーしたが、最後1、2点を取りきれなかったのは悔しい。」「全日本総合は特別な大会。来年の全日本総合に向けて、出られる試合を一戦一戦頑張りたい。」と、振り返りと抱負を語った。


女子ダブルス
  • 保原 彩夏(ヨネックス)
  • 宮浦 玲奈(ヨネックス)
1
  • 21-14
  • 5-2
0

まだペア歴は長くないものの着実に実力を伸ばしている保原/宮浦と、急造ペアにも拘らずベスト4へと勝ち進んできた福島/杉村が対戦した。

第1ゲーム、序盤から保原/宮浦の攻撃が光る。「まず自分達が動くことを心がけた」と声を揃えていうように、2人は自ら動いて仕掛けて攻撃の体制を作っていった。宮浦が前衛に積極的に入り、保原が後衛から様々なショットを打ち分けて福島/杉村を翻弄する。福島/杉村も相手に詰めらないよう、大きい展開でラリー戦に持ち込み、チャンスを伺っては得点につなげるが、保原/宮浦の勢いある攻撃的なプレーに押されてしまう。7-16と大きく出遅れた福島/杉村だが、大きな展開から素早いタッチを仕掛けて相手を前後左右に動かし、相手のコンビネーションを崩し、空いたスペースへとシャトルを運ぶなど、4連続得点をあげて差を縮める。これまで攻撃的なプレーや早い展開でのゲームメイクを繰り広げてきた保原/宮浦は、ミドルコートへのショットなども取り入れて展開に変化を加え、再度流れをたぐり寄せる。その後はお互いが点を取り合ったが、リードを保った保原/宮浦が21-14で逃げ切った。

1ゲーム終了後、福島/杉村は昨日の試合で負傷した杉村の足首が気になるのか、少しコーチと相談している様子が伺えた。そして2ゲーム目、再びコートに入るも2-5の時、続行が難しいことを判断し、途中棄権となった。コートから出るや悔しさが込み上げてきた杉村は、隠しきれない涙をタオルで拭っていた。杉村のラケットバッグも持ってコートを後にする福島も「後輩の悔しさを感じ取ってのもらい泣き」という涙を流したが、最後は二人とも笑顔だった。

急造ペアでありながらもベスト4まで駆け上がった福島/杉村。お互いが貴重な経験となったと述べている、今大会杉村にとっては初出場の全日本総合だっただけに悔しさが残る終わり方となった。この経験を糧に、それぞれが来年以降どのような活躍を見せるか注目したい。

そして、終始自分たちのペースで試合を進めた保原/宮浦は初の決勝進出を決めた。明日の決勝戦は、大会1週間前から組み始めたとは思えないようなコンビネーションで今大会勝ち上がってきた櫻本/鈴木と対戦する。櫻本/鈴木も試合を重ねるたびにコンビ力が上がっているだけに、どのような試合になるのか楽しみである。。


  • 櫻本 絢子(ヨネックス)
  • 鈴木 陽向(NTT東日本)
2
  • 21-16
  • 21-18
0
  • 小野 菜保(再春館製薬所)
  • 福本 真恵七(再春館製薬所)

組んでまもないペアながら、今大会1ゲームも落とすことなく準決勝まで順調な勝ち上がりを見せてきた櫻本絢子/鈴木陽向と、昨年の悔しい1回戦敗退から大きな成長を見せて、準決勝進出を果たした小野菜保/福本真恵七が顔を合わせた。

第1ゲーム、櫻本がスマッシュとドロップの緩急のつけたショットで崩し、鈴木が前で沈めていけば、対して福本が思い切りのいい飛び出しで前衛に入って、小野の強打を引き出していく。お互いに点を取り合うシーソーゲームとなる。試合が動いたのは、櫻本/鈴木が2点ビハインドの14-16。小野がサービスショットをネットにかけると、この好機を逃さずギアを上げた櫻本/鈴木は相手のミスを誘い、最後は櫻本がラウンドからクロススマッシュを決めて21-16と7連続ポイントを奪った。

第2ゲーム、お互いに取り合い、どちらに転ぶかわからない好ゲームとなる。長いラリーを我慢して攻撃の形を作る小野/福本は、12-14のビハインドの場面から小野がスマッシュを決めるなど3連続ポイントで逆転、さらに2連続ポイントを奪い17-15とする。このまま小野/福本が逃げ切るかと思われたが、「きつい時に櫻本先輩が声をかけてくれて自信をもって前に入れた」という鈴木が積極的に前に入って櫻本が後衛で攻め立てる必勝パターンで、櫻本/鈴木が連続ポイントを奪うと、最後は小野のスマッシュがネットにかかり、ゲーム。21-19で櫻本/鈴木がうれしい決勝進出を果たした。

終わってみれば第1ゲーム16-14、第2ゲーム目17-15と小野/福本はリードの場面から逆転を許している。「リードの場面で自分たちのミスで流れを失っている。そこで一本取れないのが実力。いいところも課題も見つかった。もう一試合戦って、自分たちが成長した姿を見せたかった。次こそは決勝に進めるように帰ってきたい(福本)」「準決勝までこられたのは頑張ってきたから。また強くなれるように頑張りたい」と上を向いた。決勝に挑む櫻本が「明日も攻めて攻めていきたい。(同じ所属で)手の内を知り尽くしている。最後は気持ちの勝負になると思うので、強い気持ちで臨む」と話せば、「最後、楽しんでやりたい」と鈴木が意気込みを語った。


混合ダブルス
2
  • 21-15
  • 19-21
  • 21-11
1
  • 浦井 唯行(丸杉)
  • 清水 望(昭和電工マテリアルズ)

3年連続ナショナルチームB代表に選出され、渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)の次の世代のエースペアとしての成長が期待される緑川大輝/齋藤夏が準決勝に登場。ナショナルチーム返り咲きを狙う浦井唯行と、新たなパートナーの清水望を相手に、熱戦が繰り広げられた。

第1ゲーム、序盤は緑川が軽快な跳躍からスマッシュをコースに打ち分けて攻撃の主役になると、齋藤もフロントコートで素早いタッチを見せて、緑川/齋藤が6-1とリードを奪う。しかし、浦井/清水もロングサービスを多用して相手を揺さぶり、浦井が強力なスマッシュを突き刺すなどして得点を重ね、12-10と逆転する。それでも、低く速い展開でいち早くシャトルに回り込むことが出来た緑川/齋藤が、コース・緩急の工夫で流れを引き戻し、再逆転して一気に突き放し、21-15でゲームを奪う。

第2ゲーム、あとがない浦井/清水はネット前へのチャージを徹底し、清水が強打の割合を増やすなどして積極的な攻撃を仕掛ける。スピード感あふれる展開で両ペア互角の戦いとなり接戦で進んでいく。19-19までもつれたが、低空戦でプレッシャーをかけ続けた浦井/清水が相手のミスを誘い、21-19としてイーブンに持ち込んだ。勝負のファイナルゲーム、疲れによるものか、序盤は互いにサービス周りやショートリターンで精彩を欠くプレーが目立つ。先に立て直しに成功したのは緑川/齋藤だった。「ネット前に詰められた展開で第2ゲームを落としてしまったので、大きく返すなどして流れを変えた。」と緑川が振り返ったように、ロングリターンで押し返してから、次のディフェンスで左右のスペースを突くといった組み立てで、有利なラリーを増やしていく。加えて、齋藤が「第2ゲームで前衛を機能させられなかった分、しっかり触ることを意識した。」と振り返るとおり、この場面で前衛機能を高める。攻撃の厚みを増した緑川/齋藤は、8連続得点をあげて12-4と先行する。スピード&パワーで攻め立てる浦井/清水は終盤に足が止まる場面も散見され、それと対照的に、抜いたショットを効果的に織り込んだ緑川/齋藤が最後までペースを維持。最後は緑川のドロップでノータッチを奪い21-10。緑川/齋藤が勝利をもぎ取った。

初優勝へ王手をかけた緑川/齋藤は「今大会は色々な方にプレッシャーをかけられる中での戦いだが、今の自分たちにできるプレー、いいパフォーマンスをして、優勝という結果を得られたらいい。」と語り、実力で優勝を掴みにいく姿勢を示した。健闘した浦井/清水は「勝負所の経験値、プレッシャーがかかる場面での相手の方が上だった。若い相手だけど、あっぱれと言いたい(浦井)」「絶不調状態から迎えた今大会だったが、大会を通して上向き、今日が一番良かった。それでも、3ゲームしっかり戦えるようなペース配分が出来た相手の方が上手だった(清水)」と、若き勝者を称えた。


  • 仁平 澄也(NTT東日本)
  • 朝倉 みなみ(NTT東日本)
2
  • 30-28
  • 21-15
1
  • 市川 和洋(ジェイテクト)
  • 加藤 美幸(ACT SAIKYO)

第1、第4シードがそれぞれ敗れ、混戦となった山を勝ち上がってきた仁平澄也/朝倉みなみと市川和洋/加藤美幸の対決。今大会のダークホース同士の決勝進出をかけた戦いとなった。

第1ゲーム、立ち上がりからどちらも譲らない激しい攻防戦が繰り広げられる。加藤が前衛で相手のネット前に落とし、ロブが上がってきたところを市川がスマッシュで押し込む。一方の仁平/朝倉は、仁平が相手の空きスペースにドライブを打ち込み、上がってきた球を朝倉とローテーションしながら攻める。中盤以降、3点以上の点差が離れないシーソーゲームの展開が続く。迎えた終盤19-19の場面、仁平/朝倉の粘り強いディフェンスに対し、市川/加藤はアタックのコースを散らして崩し、ゲームポイントを取る。しかし次のプレーで仁平にスマッシュを決められ、勝負は延長ゲームに持ち越される。その後も互いに譲らぬ激しい展開が続き、重みのある1点1点に観客のボルテージも上がっていく。仁平/朝倉は6度目のゲームポイントとなった場面で、サービス周りのドライブ戦を制し30-28とし、40分の大接戦となったこのゲームをものにする。

第2ゲームはポイントが連続する展開で進む。市川/加藤がフェイントを入れたネット前のプレーなどで3連続ポイントで6-2とリードするが、仁平/朝倉も粘り強いプレーで長いラリーを制し、6連続ポイントで対抗する。競り合いからの中盤、仁平がスマッシュを決めて仁平/朝倉が14-13とリードすると、粘り強いディフェンスとローテーションを織り交ぜたアタックでさらにポイントを重ねていく。最後は市川のロングサービスを仁平がスマッシュで決め、21-15。仁平/朝倉がストレート勝利を掴んでの決勝進出を決めた。

試合後、「明日は楽しんで思いっきりプレーしたい。」「2人らしいプレーができれば良い。」と決勝戦への意気込みを語った仁平/朝倉は明日、初のタイトル奪取に挑む。


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