公益財団法人日本バドミントン協会

観戦記

平成30年度 第72回 全日本総合選手権大会

11月29日(木)2回戦

男子シングルス2回戦

粘りの勝利、若きスピードスター渡邉が昨年のチャンピオンを撃破

2
  • 15-21
  • 21-15
  • 21-16
1

昨年、シングルスプレーヤーとしての総合力の高さを見せ、見事チャンピオンの座を掴んだ武下利一。本日の2回戦で渡邉航貴との一戦に臨んだ。

第1ゲーム、まず先行したのは渡邉。小柄ながら無駄のない脚運びと高い位置でのシャトル捌きで武下を翻弄し、10-3とリードを奪う。ここから武下も徐々に対応してラリーについていき、丁寧ネットプレーで相手にロブを上げさせてはクロススマッシュを沈めて追い上げる。その後追いつき15-15の場面から武下はギアを上げると、相手のミスも誘いつつ6連続ポイントで21-15、逆転でゲームを奪った。

第2ゲームは互いに緩急やディセプションを交えたショットを多用した、駆け引きの多いラリーで点を取り合っていく。鋭いドリブンクリアで効果的に相手を崩した渡邉が終盤に抜け出し、21-15でゲームを奪い返した。

勝負のファイナルゲーム、武下は高い集中力で堅実にラリーを組み立てつつ、要所で相手ボディにスマッシュを決めるなどして早々にリードを奪い、11-7として折り返す。しかしチェンジエンズ後には様相は一変、ここにきて低い展開のスピードラリーに徹する相手に振り切られるようにミスが増え、13-13で追いつかれてしまう。王者の背中を捉えた渡邉は、コンパクトなフォームから鋭く放つスマッシュと、早いタッチのネットプレーを最後まで徹底して繰り出し、21-16として75分のタフな試合をものにした。

2
  • 21-12
  • 21-11
0
  • 緑川 大輝 (埼玉栄高校)
桃田 賢斗コメント
「自分は高校生の頃に三冠できなかったが、今日の相手は高校総体三冠を達成していたので負けられないという気持ちがあった。年下にプレッシャーのかけ方などを伝えたくて、あえて長いラリーをする時もあった。昨日は緊張していたが、今日の試合ではリラックスして臨めた。高校生だからといって負けられないという意識はなかった。一回限りの勝負なので向かっていく気持ちと感謝の気持ちを忘れず、明日の試合へも臨みたい。」
女子シングルス2回戦

中西、昨年のリベンジならず...第3シードの大堀は順調に駒を進める!

2
  • 21-19
  • 21-8
0
  • 中西 貴映 (日本ユニシス)

社会人1年目として気持ち新たに総合に挑む中西貴映の前に、昨年の2回戦と同様、大堀彩が立ちはだかった。

第1ゲーム初球、中西が鋭いクロススマッシュでノータッチエースを決め、先制する。チャレンジャーの中西は序盤から強打を仕掛け、まだ足が動いていない大堀から得点を奪う。対する大堀も強打を織り交ぜた緩急のあるプレーで応戦。お互いに点の取り合いになるも、クロススマッシュで積極的に仕掛けた中西が11-8とリードする。後半は点差が離れては巻き返し、ゲームは19-17と終盤を迎える。後半足が動いてきた大堀はラリーで中西のミスを誘い、高い集中を見せて4連続得点し大堀が先取する。

続く2ゲーム、スピードを上げた大堀がゲームの主導権を握る。逆を突くプレーと、中西の強打への素早い反応を見せ、一気に突き放す。後半は中西の防戦一方。大堀が精彩なショットで中西を大きく動かし、甘く上がった球を容赦なく攻め立てる。最後もライン際に力強いスマッシュを決め、21-8と快勝を収めた。

試合後大堀は「第1ゲーム前半は自分のミスで点を取られてしまったが、後半は粘ってゲームを取ることができた。出だしが一番大事なので、第2ゲームはペースを上げてプレーした。後半は一気に行くことができてよかった。」と試合を振り返り、明日の準々決勝に向けては「自分のできる限りのパフォーマンスでゲームに集中したい。」と気を引き締めた。

男子ダブルス2回戦

衰えぬスピード&パワー、そして積み上げてきた経験の勝利、ベテランペアが次期エースペアを退ける

  • 橋本 博且 (福井県スポーツ協会)
  • 佐伯 祐行 (福井県スポーツ協会)
2
  • 21-17
  • 29-27
0
  • 金子 真大 (トナミ運輸)
  • 久保田 友之祐 (トナミ運輸)

昨年、世界ジュニアで男子ダブルス初の優勝を成し遂げ、今年から実業団の強豪・トナミ運輸でプレーを磨いてきた金子真大/久保田友之祐が2回戦に登場。昨年の総合で2回戦敗退であった2人にとっては、成長をアピールするためにも何としても負けられない戦いとなった。対する橋本博且/佐伯祐行は金子/久保田より平均年齢が一回り以上も上の、共に昭和生まれのペアであるが、衰え知らずのスピードとパワーを持った実力者である。

第1ゲーム、出だしから男子ダブルスらしい迫力あるプレーが繰り広げられ、点を取り合う。橋本/佐伯は互いにネット前で積極的に飛び込んでシャトルを捉える攻撃的な姿勢が目立つ。一方の金子/久保田は金子が細かくショットを右に左に切り返しては左腕・久保田の強打につなげて点を取る展開となる。ゲームが動いたのは16-16の場面、ここが勝負どころと見た佐伯が、果敢な飛び出しから誘い出したミドルコートの球をスマッシュで沈めると、橋本も力強いジャンピングスマッシュで連続エースをとるなどして抜け出す。最後は佐伯がプッシュを沈めて21-17。橋本/佐伯がゲームの奪取に成功した。

第2ゲームに入ると、金子/久保田はトナミ勢らしい強力なドライブで低空の高速ラリーにうって出る。これに対し橋本は元トナミ選手らしくより強力なドライブで押し返し、佐伯は好反応でうまくラケットの面を被せ、球をより手前に沈めて対応。素早く、攻守が目まぐるしく入れ替わる打ち合いとなる。前ゲーム同様に中盤以降の抜け出しに成功し、19-15とした橋本/佐伯であったが、ここからミドル、フロントコートでのつなぎ球の精度に狂いが生じて甘くなってしまい、金子/久保田に立て続けに決められてしまうなどし、21-20と逆転を許す。このピンチを佐伯のスマッシュで乗り切るが、またすぐにゲームポイントを握られる苦しい展開が続く。1ラリーごとに大きな歓声が沸き上がる白熱した延長ゲームであったが、27-27の場面で金子がスマッシュをバックアウトにしてしまうと、最後はドライブの打ち合いから佐伯が前でプッシュを沈め29-27。熟練の勝負強さを発揮した橋本/佐伯が、次代の追随を振り切って準々決勝進出を決めた。

試合後、橋本が「第2ゲームの終盤、微妙なジャッジに熱くなってしまったりもしたが、それを自分達のパワーに変えられた。」と勝因を語り、佐伯は「相手は若くて勢いがあるので、勢いで返してやろうという思いでプレーした。若い選手たちに負けないようにプレッシャーになればよいと思う。今大会で若い選手に何かを残したい。」と若き世代の選手への思いを吐露した。

女子ダブルス2回戦

この1年の成長株、櫻本/髙畑がスピードの違いを見せ快勝

2
  • 21-11
  • 21-10
0
  • 毛利 未佳 (龍谷大学)
  • 野田 千遥 (龍谷大学)

今年、ワールドツアーで数々の好成績をあげて世界のトップ10入りを果たした櫻本絢子/髙畑祐紀子。昨日の1回戦でナショナルB代表ペアを破って勢い乗る大学生ペア・毛利美佳/野田千遥との2回戦に臨んだ。

第1ゲーム、まず持ち前のプレーを出したのは毛利/野田。体勢を整えて臨むディフェンスから、積極的にショートリターンを用いて自分たちのペースで攻撃の場面を演出する。毛利の強打がコースよく決まるなどし、格上相手に7-7と上々の出だしを見せる。しかしここから櫻本/髙畑が仕掛ける。クリアやロブで大きく展開して相手を押し下げ、打たせたスマッシュに得意のドライブリターンで対応し相手を崩す。チャンスと見れば櫻本のスマッシュ、髙畑のプッシュで猛攻を浴びせ、8連続得点をあげ15-7と一気に突き放す。この展開・切り返しがうまくはまった櫻本/髙畑がそのまま走って21-11と幸先よく先取した。

第2ゲームに入り一矢報いたい野田・毛利は、速いラリーの中で積極的に飛びついてスマッシュに持ち込む場面を多々見せるが、相手のディフェンスを打ち破れない。より速い切り返しで左右に打ち分ける櫻本/髙畑の配球が勝り、スタートから点差は開く一方である。ラリースピードで上回った櫻本/髙畑の独壇場となり、櫻本のスマッシュやドロップ、髙畑のフロントコートでのスマッシュが次々に決まる。結局このゲームで直接のショットエラーは3度だけと、完璧に近い内容で21-10とし快勝でベスト8入りを決めた。

見事なゲームを終えた櫻本/髙畑は「今日の相手は昨日のシード選手を破ってきた相手なので、自分達も向かっていくつもりで取り組んだ。自分達のプレーを出し切れたのが良かった。明日は今日より強い相手なので今日と同様自分たちのプレーを出し切りたい。(髙畑)」「 自分達のリズムにより切れたのが良かった。明日は自分達のやるべきことを出し切りたい。(櫻本)」と、その充実ぶりと明日への意気込みを語ってくれた。

2
  • 22-20
  • 21-13
0
  • 荒木 茜羽 (岐阜トリッキーパンダース)
  • 今井 莉子 (岐阜トリッキーパンダース)
志田 千陽コメント
「二人でよく話し合ってプレーできた。出だしは緊張したがお互いにカバーしあってプレーした。第1ゲームでまずかった部分を第2ゲームで修正することができた。明日は1年間やってきたことを出し切って勝てればよいと思う。」
松山 奈未コメント
「いつもよりよく話し合って、しっかり確認して試合ができた。」
混合ダブルス2回戦

ランキングサーキット優勝の実力を示す!高校総体チャンピオン同士のペアは健闘するも及ばす

2
  • 21-19
  • 21-15
0
  • 緑川 大輝 (埼玉栄高校)
  • 齋藤 夏 (埼玉栄高校)

それぞれ男女ダブルスの高校総体チャンピオンであり、アジアジュニアで混合ダブルスの経験値を上げた緑川大輝/齋藤夏が、ランキングサーキット優勝、フランスOP(Super500)ベスト8の保木卓朗/永原和可那と対峙した。

第1ゲーム序盤、緑川の冷静で正確なショットが、「ダブルスのあとの待ち時間が長かったことで足が動かず、いつものプレーができなかった。」という保木/永原の立ち上がりを苦しめる。緑川/齋藤は着実に点を重ね11-5と一気にリードする。しかしインターバル後、保木/永原は相手のミスで3連続ポイントを取ると、さらには大きい展開から得意の攻めの形に持ち込むパターンで巻き返す。その後5連続ポイントで逆転に成功すると、その勢いのまま21-15でゲームをものにする。

第2ゲーム、流れを取り戻したい緑川/齋藤だが、スピードを上げた保木/永原についていけず、前半に6点差を付けられる。後半積極的に攻撃し巻き返しを図るも、要所でのミスに苦しみ、点差を縮めることができず、保木/永原が21-15としてストレートで勝利した。

「相手が高校生で負けられないという気持ちもあり、相手も上手く自分たちを回してきたが、それに対して我慢できたのが良かった。混合ダブルスでもA代表として負けられないという思いでやっている。」と試合後に保木が語っており、その強い気持ちで準々決勝以降も好試合が期待される。

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