公益財団法人日本バドミントン協会

観戦記

平成30年度 第72回 全日本総合選手権大会

12月2日(日)決勝

男子シングルス決勝

若き日本のエース対決!世界ランク1位の意地を見せ、桃田が復帰後総合初優勝!

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  • 21-9
  • 18-21
  • 21-11
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注目の男子シングルス決勝戦、復帰後初優勝が期待される世界ランキング1位の桃田と2年ぶりの王座奪還を狙う西本の同学年対決となった。

第1ゲーム序盤、桃田が緩急をつけたショットで連続得点し点差をつけると、同じフォームからドリブンクリアとカットスマッシュを左右に打ち分け、ラリーで主導権を握る。対する西本は、得意のフォア奥からの強打で桃田を苦しめる。ゲームが大きく動いたのは9-6の場面。2連続得点で桃田が11点目を取ると、インターバル後もそのままの流れでゲームを進めていく。西本のエラーが目立ち、前半決められていたフォア奥からの強打にも対応した桃田は、後半は失点を3点に抑え、21-9と大差でゲームを先取した。

続く第2ゲーム、流れを変えたい西本は鋭いネットショットで先制。対する桃田がスピードを上げるが、西本も何とかついていき得点につなげる。その後も両者一歩も譲らない強打の応酬が続き、会場を沸かせる。6-8から桃田が再びスピードを上げ連続得点で逆転するが、西本も負けじと速い展開で勝負し、11-10とリードでインターバルを迎える。その後も西本は桃田の強打にしっかり対応し、逆に強打をねじ込んで得点を重ねる。最後は桃田が放ったライン際へのきわどいショットがアウトの判定で西本の得点になり、西本が21-18としてファイナルゲーム勝負に持ち込んだ。

ファイナルゲーム、ラリーから西本のバックアウトで桃田が先制するが、その直後西本が強打で桃田からすぐさま点を奪い返し、両者譲らない出だしとなる。その後もお互い速いタッチで、スピード感あふれるラリーを繰り返すが、桃田がタイミングを巧みにずらし得点につなげる。西本も疲れからかエラーが目立つようになり、11-3と一気に点差をつけられる。後半、桃田の怒涛の攻めに何とか食らいつく西本だが、体勢を崩したところに多彩なショットを打たれ対応しきれない。終盤も桃田に連続得点を許し、最後は桃田がフォア奥からクロススマッシュを突き刺し、昨年は果たせなかった復帰後初の全日本総合優勝を飾った。

試合後桃田は、「中国オープンで対戦した時より一球一球に気迫があり苦戦した。」と西本を賞賛し、「全日本での優勝は自分だけのものではなく周りの人々、会社等みんなで戦った結果と感じています。」と感謝を示した。西本は、「中国オープンの時に比べて低いプレーからの対応で我慢できた。桃田のように、粘るだけでなく相手を利用するようなプレーを身につけたい。」と、相手から得た学びを更なる成長の糧にする決意を語った。

女子シングルス決勝

史上最高の決勝戦、ハイレベルなラリーを制した山口が見事2連覇を果たす

2
  • 21-16
  • 17-21
  • 21-11
1

女子シングルスにおいて4月に日本人初の世界ランキング1位を経験した山口茜と、昨年日本人初の世界選手権優勝を果たした奥原希望。この種目の歴史を塗り替えてきた2人による、全日本総合選手権史上最もハイレベルな決勝戦が行われた。

第1ゲーム、「シャトルが飛びづらい方のコートだったこともあり、またいつも自分が攻め急いでやられてしまうことが多いので、あえて攻めずに大きくラリーすることを心掛けた。」と言う通り、じっくりと大きくラリーを展開する山口。対して奥原は攻めのラリーに入るがスライスショットとヘアピンの精度が思うように上がらず、ラリーを取り切れずに、7-11とビハインドを負う。しかしインターバル明け最初のラリー、クロスヘアピンでノータッチをとると、奥原はネット前を高いポジションで捉える本来の姿を取り戻し、チャンス球を作り出しては確実に沈めて得点をあげ、5連続得点で12-11と逆転する。この後、点を取り合い14-14の場面、長いラリーから奥原がネット前に飛び込んで放ったプッシュに、山口がスーパーリターンを見せて大歓声を浴びると、ここから山口はスピードを上げて奥原を振り切る。21-16としてゲームを奪った。

第2ゲームに入ると、比較的シャトルが飛ぶコートになったこともあり、山口はライン際へのストレートスマッシュを多用してラリーを組み立てる。奥原は好反応を見せて確実につなぎ、しっかり球を押し返し、球足の短いクロスドロップを決めるなど、らしさを発揮する。互いに譲らぬ接戦が続いたが、16-16から集中力を高めて抜け出した奥原が21-17としてこのゲームを制した。

運命のファイナルゲーム、奥原は先制こそしたものの、プレーを加速させたのは山口であった。運動量を保って第1ゲーム同様の大きなラリーに徹すると、奥原は苦しい体勢でのショットが増え、それゆえ精度に陰りが見える。厳しく球を送った山口が11-5とリードを奪ってチェンジエンズ、後半に突入する。この後、奥原も激しいクリアの打ち合いから、ラウンドのストレートスマッシュを沈めるなど見せ場を作るが、このエンドの攻撃は山口に分があった。最後まで衰えぬ足運びで的確にシャトルを捉え、要所でクロススマッシュを沈めた山口が21-11として、この史上最高の決勝戦に終止符を打った。

見事な試合を見せてくれた山口は試合後の会見で「連覇できて良かったというよりも、決勝戦でいい戦い方ができたことがよかったです。正直、試合前には『今日はボコボコにやられてしまうのではないか』と思っていました。勝ち負け以上に、しっかりとした、恥ずかしくない試合をしたいと意識してプレーしたので、いつもと違う戦い方を試したのも含めてそれができてよかったです。」と笑顔を見せた。また、大会を振り返っては「ダブルスに出場したことで、その技術を通じてシングルスに感じることもあったし、プレーが楽しかった。バドミントンの楽しさをより感じながら試合をできたのがよかったです。」と大きな充実感を語ってくれた。

一方、惜しくも敗れた奥原も「負けたことは悔しいですが、茜ちゃんとの決勝戦は楽しかった。結果は満足できないですが、内容には満足しています。いつも応援してくれるお客さんに世界のトップレベルのラリーを見せられたのではないかと思います。多くのファンのあたたかい声援の中で試合ができて幸せでした。」と、多くのバドミントンファンへの感謝とともに試合内容の充実感を語ってくれた。

男子ダブルス決勝

進化止まぬトップダブルス対決!制した園田嘉村は五輪レースへの自信につなげる!

2
  • 21-16
  • 21-15
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国際大会でチームジャパンを牽引してきた日本のトップダブルス園田/嘉村と遠藤/渡辺、全日本総合決勝という、ふさわしい舞台でそれぞれ二連覇とリベンジを賭けた試合に臨んだ。

第1ゲーム、園田/嘉村が得意の低空戦で相手を崩し主導権を握る。園田/嘉村は序盤、長いラリーからの得点で流れを掴み、4連続得点で先行する。対する遠藤/渡辺も自分たちの攻撃パターンに持ち込み得点を重ねる。しかし園田/嘉村の低空戦に遠藤/渡辺のコンビネーションが時折崩され、なかなか点差は縮まらない。11-7で折り返すと園田/嘉村は更に低空戦を徹底、一時は7点まで点差を広げる。このまま第1ゲームを取られるわけにはいかない遠藤/渡辺は、粘り強いプレーで5連続得点し18-16まで迫るも、最後は嘉村の前衛での好プレーに阻まれ、園田/嘉村に1ゲーム先取を許す。

続く第2ゲーム、低空戦を徹底する園田/嘉村と、鉄壁の守りを見せる遠藤/渡辺。8-8までお互いに一歩も譲らない展開となる。そこから先に抜け出したのはまたしても園田/嘉村。低く速い球で鉄壁を崩し、甘い球を容赦なく叩き込む。そのまま11-8とした園田/嘉村が後半も自分たちのパターンを徹底し、遠藤/渡辺を寄せ付けない。中盤で何とか流れを呼び込みたかった遠藤/渡辺だったが強みを上手く活かしきれず、園田嘉村が昨年のリベンジを果たし3度目の王者に輝いた。

試合後の会見では、「今大会、苦しい試合もあったがその苦しい試合を乗り切ったから優勝することができた。(嘉村)」「レシーブが上手い相手だったが嘉村が積極的に前に行ってくれたので、後衛でしっかり打つことに集中できた。(園田)」とここまでの戦いを振り返った。また、この先続いていく戦いについては「日本王者として来年を迎えることで、気持ち良くオリンピックレースに臨むことができる。(嘉村)」と、混戦を勝ち切って得た自信を胸に、前向きな姿勢を示してくれた。

女子ダブルス決勝

緊張感あふれる激しい攻防、攻守に強さを見せた福島/廣田が頂上決戦を制し大会2連覇

2
  • 21-15
  • 21-13
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世界ランキング1位の福島/廣田と2位の髙橋/松友。今年の全日本総合女子ダブルスの決勝戦は、今世界で最もレベルの高い国内大会として執り行われた。

第1ゲーム、いきなり攻守が激しく行き交う長いラリーで幕を開け、これを福島/廣田が制する。「出だしが大事で、しっかり攻めの形を作っていけるように心がけた。(廣田)」という福島/廣田が、攻守にわたって強いショットを駆使し6-0とスタートダッシュに成功する。髙橋/松友の鉄壁のデイフェンスをこじ開けて突破した福島/廣田が17-9とリードを大きく保って進んでいく。ここから髙橋/松友も意地の持久戦ラリーを制するなどして6連続ポイントで追い上げムードとなるが、集中力を保った福島/廣田が着実に球を沈め、21-15でゲームを奪取した。

続く第2ゲームも出だしで猛攻を仕掛ける福島/廣田が先行し、髙橋/松友が追いかけ、追いつく展開となる。5-5の場面から髙橋/松友は見事なコンビネーションで相手を崩し、髙橋が高さ・コースに変化をつけたスマッシュを連打して得点をあげるなど、この試合で始めてリードを奪い9-6とする。しかし、厳しいショットを狙うがあまり、ここからフロントコートでのミスが増えてしまい波に乗れない。逆にタッチを早めて攻め立てた福島/廣田が8連続得点をあげて14-9と逆転する。ここからは互いに持てるプレーを引き出す。髙橋がスマッシュの連打で相手を下げさせては、松友は前衛での光るプレーが随所に飛び出す。対する福島/廣田も速攻姿勢を徹底し、本来の形とは違うものの、後衛に入った廣田のスマッシュが冴えを見せて、福島が強気にプッシュを沈めて流れを引き渡さない。最後を飾ったプレーも廣田のスマッシュだった。強力なショットに松友はリターンできず、21-13で制した福島/廣田が笑顔で二連覇を達成した。

試合後行われた優勝選手記者会見で福島/廣田は「昨年は勢いで取った優勝なので、今回向かってこられる立場で連覇できたことは嬉しく思います。(廣田)」「結果もそうですが、昨日、今日といい内容で試合ができたのでよかったです。(福島)」とそれぞれ喜びを語った。

混合ダブルス決勝

混合ダブルスの新しい時代を作る渡辺/東野が接戦を抜け出し、納得のV2

2
  • 21-17
  • 21-18
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第72回全日本総合バドミントン選手権大会最終日のオープニングゲームとなった混合ダブルス。昨年王者であり、先月の香港オープンでは格上を破って優勝を果たした世界ランキング3位の渡辺/東野が堂々の登場。挑戦するのは、ペア歴は数か月と浅いものの、ワールドツアーで既に2度のベスト8入りを経験した伸び盛りの保木/永原である。

第1ゲームの出だしは、保木/永原は低い展開で得意の上からの強打を武器に攻める。うまく攻めのパターンを作れない渡辺/東野だが、後衛の渡辺が左右へのゆさぶりと巧みに緩急を織り交ぜたショットで我慢強いラリーをし、相手を崩して対抗する。お互いに点数を重ね、試合が動いたのは、14-15と保木/永原リードの場面。保木は攻め急いだのかミスが出て、渡辺/東野が連続5ポイントを奪い、18-15と抜け出す。保木が意地のスマッシュを決めて追い上げるも反撃及ばず、21-17で渡辺/東野が奪う。

第2ゲーム、コンビネーションの良さに定評のある渡辺/東野は、「二連覇を意識して固くなってしまった。」とミスが重なり、6-11と苦しい展開となる。インターバル後に機材のトラブルがあり、一時試合中断となる。再開1ラリー目の永原のサービスを渡辺が狙いすましたかのように素早く入りエースを決めると、流れを掴み始める。渡辺が素早くシャトルに下に入って、騙しのドロップでエースを3本奪い、15-15と同点に追いつく。試合後、永原が「相手は経験を積んでいるので、その差が出た。」と振り返ったように保木/永原にネット前や連打でのミスが出て、結局は、21-18で渡辺/東野が2連覇を果たした。

試合後、渡辺は、「勝ちにこだわっていきたい。」と話せば、東野は「まだまだ勝てないペアがたくさんいる。中国ペアなど倒したい気持ちでいっぱいです。高いところを目指さなければいけない。」とさらなる飛躍に向けて語った。一方の保木は、「今回は自分たちの持ち味を出せたよい試合だった。混合ダブルスは男子・女子ダブルスにつながると思う。より上位を目指していきたい。」と力強く語った。

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